相手(他の相続人)が弁護士を依頼してきた場合
遺産分割協議において、突然、協議相手(他の相続人)から通知が届く場合があります。
このように他の相続人が弁護士を依頼してきた場合、どのような点に注意し、どのように対処すべきか、を解説いたします(ここでは遺産分割協議を前提としますが、遺留分の問題でも基本的に同じです)。
相続人が弁護士を依頼する理由はどこにあるでしょうか。
①の場合は、手続面の支障を取り除くことを目的としているものですので、こちらが、対抗して弁護士を立てる必要は高くありません。
他方、②の場合は、「このまま自分で対応できるのか」それとも「自分も弁護士に依頼したほうがいいのか」を見極める必要があります。
遺産分割協議でも調停でも、弁護士を依頼しないことを選択することが自由です。
特に、得られる遺産が少額である場合、相手との主張の開きが小さい場合、弁護士費用の準備が難しい場合、自分が損をしてもいいので揉めたくはないと思っている場合などは、ご自身で対応することでも良いかと思います。
他方、「相続分」「分割方法」「生前の引き出し(使途不明金)」「不動産の評価方法」などで深刻な対立がある場合、注意が必要です。
これらの対立点は、協議での解決が困難で、家庭裁判所の遺産分割調停に移行する可能性が高いです。
そのため、協議段階から、駆け引きが必要となります。
相手の弁護士の求めに応じるままに資料や回答をしたことで、後日の遺産分割調停で不利な立場に追いやられる場合もあります。弁護士は交渉の専門家ですから、弁護士に対する回答には、細心の注意を払う必要があります。
特に、調停や審判などの家庭裁判所の手続きにおいて、相手には弁護士がいるのに、自分は弁護士を頼まない、というのは、それだけで不利な立場を強いられることとなります。
そう考えますと、 他の相続人が弁護士を依頼してきた場合、基本的にはこちら側も弁護士に依頼したほうがいい、という結論になります。
もっとも、弁護士の中には、相続問題という特殊性の経験や理解が不十分であったり、依頼者の話をあまり聞いてもらえない場合もあります。
そのため、相手が弁護士を依頼したから、慌てて弁護士に依頼する、ということではなく、 時間を掛けて依頼する弁護士を探されることをおすすめいたします。
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この記事の監修者について
アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)専門分野
相続遺言、交通事故経歴
秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。022-398-8671