遺言を書いたときは、遺言執行者を選任しましょう!
ここは抑えておきたい!遺言執行者選任の必要性について
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために職務を行う者のことです。
遺言の中身を実現するために、
①遺言執行者を必ず選任する必要があるもの、と、
②できれば選任していおいたほうが良い、場合があります。
①は、あまり馴染みがないものですが、遺言で子を認知する場合や、相続人を廃除したい場合です。
②は、例えば、相続人ではない第三者に遺贈する場合です。
不動産を第三者に遺贈する登記をする場合には、相続人全員の協力が必要となります。
しかし、遺言執行者を選任しておけば、遺言執行者と受遺者だけで、名義変更をすることが可能となります。
また、例えば盆栽仲間に盆栽を遺贈したい場合やお世話になった知人に何かを残したい場合も、その友人・知人が遺言を見る機会というのはないわけですから、相続人が「面倒くさい」「なんで他人に」と考えてしまえば、日の目をみないまま終わってしまう可能性もあります。
また、銀行での預金払戻し手続きにおいても遺言執行者に預金払い戻し権限を与えることで、遺言執行者が単独で金融機関の手続きを行い、払戻しを受けることが可能となります。
さらに、相続手続きが行われる前に、相続財産が処分や毀損されそうな場合には、遺言執行者がそれを差し止めたり、取り戻すこともできます。
遺言執行者を選任することで、相続人や受遺者の事務手続きの負担が大幅に軽減され、相続手続きも円滑・迅速にすすめることができます。
遺言執行者の報酬は、相続財産より差し引かせていただきますので、皆様のご負担にもなりません。
遺言執行者の責任
このように遺言執行者を選任することで、関係者の負担は大きく軽減されるのですが、他方で、遺言執行者には、遺産を適切に管理する責任があります。
例えば、就任後速やかに財産目録の作成し、相続人に配布したり、事件終了時に終了報告を相続人にしたり、また、適切な財産管理や訴訟対応なども含まれます。
ご家族を遺言執行者に指定する例は多いですが、遺言執行者に慣れていない人を選任してしまうと、相続手続きや遺産管理が円滑にできないおそれがあるため、弁護士に依頼・選任することが望ましいです。
遺言執行者の権限の範囲については、明確な決まりが少ないことから(法改正が期待されています)、何をどこまでできるのか、事前に、選任予定者と話し合いをしておくことが必要です。
遺言の注意点
遺言があれば、遺産分割協議をすることなく、遺言書に記載された内容のとおりに相続手続を進めることが可能ですが、次のような場合、遺言があっても関係者の協議や協力が必要となる場合があります。
□ 相続人の遺留分が侵害されている場合
□ 遺産の一部についてしか記載がない場合
□ 受遺者・受贈者が既に亡くなっている場合
□ 相続人以外の人に遺贈する内容となっている(例:◯◯財団への寄付)
また、遺言書が、本人の真意に基づき作成されたものか疑問があったり(入院中に作成されたとか、筆跡がおかしいとか)、遺言書がそもそも法定の要件を満たしておらず無効となるケースも少なからずあります。
せっかく、遺言を作成されるのであれば、確実にご遺志を実現されるように、専門家である弁護士にご相談の上、しっかりとして遺言を作成されることをお勧めいたします。
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この記事の監修者について
アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)専門分野
相続遺言、交通事故経歴
秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。022-398-8671