亡くなった親の土地に兄弟が自宅を建てる場合の対策

親から「自分の土地が空いているから、そこに家を建てたらどうか」と言われ、親が所有する土地に、家を建てて住んでいるというご家族は多いと思います。

 

しかし、親が亡くなり、相続で揉めたときに、とても複雑な問題となりやすいケースでもありますので。

 

事例
親の土地に家を建てた子供(Aとします)は、親が亡くなったら、自宅の土地は当然に自分が相続するし、他の財産(預貯金)についても法定相続分で取得できる、と考えがちです。

 

この場合、他の相続人が「それでいいよ」と言ってくれれば何の問題も起こりません。

 

他方、他の相続人が「土地も含めて法定相続分で分けるべきだ」と言われてしまった場合、 Aが土地を優先的かつ負担なく相続することはできません。 

 

それどこから、他の相続人からは、「Aは家賃も払わず、親の土地をタダで使っていたのだから、その分、遺産の取り分は減るはずだ、特別受益だ」などと主張されることもあります。

 

Aと他の相続人の意見が真っ向から対立することになり、相続人間での話し合いでの解決は全く期待できないと言わざるを得ません。

 

こうした場合、自宅を手放したくないAは、他の遺産の取得を諦めるなどの金銭的負担をする必要があります。問題はどの程度の金銭的な負担が必要か、という点です。

 

不動産の評価額

他の相続人たちからすれば、土地の評価が高いほうが有利となり、Aからすれば、土地の評価が低いほうが有利となります。

 

他の相続人たちは、「更地の場合の評価で計算するべきだ」といえば、Aは「更地にするには費用がかかる、売るにも費用がかかる」と反論します。

 

土地の評価で折り合いがつかない場合、紛争当事者は、不動産の査定書であったり、不動産鑑定書を出し合います。双方の主張の中間値などで合意できることもありますが、合意ができない場合、最後は調停の中で鑑定が行われることになります。

 

さらに悪いことに、不動産の評価で争っている間に、生前の口座からの出金の使徒が問題となるなど、色々と問題が波及していくこともあります。そうすると、もはや手がつけられません。

 

この問題は、相続人によって見える景色が異なることに原因があります。

 

お互いの立場や考え方が異なるので、遺産分割協議がまとまりにくくなります

Aからすれば「自分が親の近くに住んであげて親の面倒をみてきたんだ」という自負がありますし、他の相続人からすれば「Aは親の土地をタダで使っていた」という見方ができてしまいます。

 

そう考えますと、日常的な家族のコミュニケーションが十分ではなかったことが原因、ともいえますので、これから相続を迎えられるご家族の方々は、積極的に相続問題についてお話いただくことを推奨させていただきます。

 

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この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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