相続放棄と生命保険金

当事務所には定期的に相続放棄を考えていらっしゃる方が相談にいらっしゃいます。そして、そのときに「生命保険は受け取れますか」とご質問をいただくことが多いです。

 

結論として、「受取人として指定されていれば、相続放棄をしても受け取ることができる」というのが回答となります。

 

理由としては、相続放棄というのは、亡くなった方(被相続人)の財産を放棄する手続きですが、保険金というのは「受取人の権利」です。亡くなった方の財産ではないからです。

 

他方で、医療保険は、通常、契約者が受取人ですので、亡くなった方の相続人として医療保険金を受領してしまうと、相続放棄ができないことになりますので、注意が必要です。

 

請求方法

実際の生命保険金の請求方法ですが、保険証券などの資料から、保険会社に連絡をすれば、保険会社から請求に必要な書類が送付されます。必要事項を記載し、死亡診断書やご本人に身分証明の資料などを同封し、保険会社に郵送(返送)します。

 

「受取人の権利」

生命保険金は「受取人の権利」であると説明しましたが、相続放棄をしない場合でも、同様です。よく、「長男が受け取った生命保険金も遺産分割をしよう」という主張を見ることがありますが、この場合は、遺産分割ではなく、長男から他の相続人への「贈与」となります。これは、相続税の世界では「生命保険」は「みなし相続財産」として相続税の算定の対象となっていて、これが誤解の原因と思われます。

 

生命保険金の請求は「受取人」が単独でできます。他の相続人の同意も必要ありません。

 

そうはいっても、実際の相続放棄の場面では、一つの間違った行動で、相続放棄が認められなくなる場合があります。そのため、生命保険金の手続きの前に、相続放棄を考えている場合は、専門家の助言を得ることが安心につながると思います。

 

当事務所によくお問い合わせいただく相談内容

この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
相続・遺言の問題でもめている・悩んでいるあなたへ 050-5286-1136

ご相談の流れはこちら

022-398-8671

相続・遺言の問題でもめている・悩んでいるあなたへ

022-398-8671