危急時遺言(緊急の時通常の遺言書の作成が難しい場合の対応策)

ご本人の健康状態が急激かつ相当に悪化するなどして、ご本人で遺言書を作成することが困難であり、かつ、公正証書遺言の作成も困難な状況が生じうるところです。この場合、「危急時遺言」の作成を検討することが考えられます。

 

危急時遺言とは、自筆証書遺言、公正証書遺言といった普通方式による遺言をすることができない場合に、民法976条に定められた厳格な方式に則り、ご本人の意思を残すことができる遺言です。

※自筆証書遺言の作成が難しい場合とは、ご本人が病気や身体機能の障害により自筆できない状態のときが想定されます。

※公正証書遺言の作成が難しい場合とは、必要書類の準備に時間がかかったり、公証人との日程調整がつかない場合などが想定されます(ご本人が署名できないだけの場合には公証人が代署できるとの定めがあります(民法969条4項))。

 

危急時遺言の作成について

民法976条は、主な要件として、下記のものを定めています。

  • 遺言者が死亡の危急にあること
  • 証人3人の立会があること
  • 遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口授し、口授を受けた証人がこれを筆記すること
  • 筆記者が遺言者及び他の証人に筆記内容を読み聞かせまたは閲覧させること
  • 各証人が筆記の正確なことを承認した後に署名捺印すること
  • 遺言の日から20日以内に証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求して確認を得ること

その他、危急時遺言作成の前提として遺言者に遺言能力、口授能力があることも必要となります。

 

当事務所のサポート

弊所にご依頼いただいた場合、危急時遺言の作成から家庭裁判所への審判申立てまで弁護士によるサポートが可能です。

 

具体的には、ご本人ないしご家族から相談を受けた弁護士が、病院等に赴いて遺言者ご本人の遺言能力、口授能力を確認の上、問題がなければ、弁護士が証人(筆記者)として関与し、上記方式に則り遺言を作成いたします。

 

遺言書を作成した後、速やかに、危急時遺言書の確認を求める審判申立書を作成し、必要書類(ご本人の診断書、戸籍、証人の住民票など)を添えて、家庭裁判所に提出します。提出を受けた家庭裁判所は、同遺言書が、本人の真意に基づくものかを調査の上(証人、本人、病院関係者などからの聴取により)、確認の審判が下されます。

 

公正証書遺言を検討していたが外出できなくなってしまった、自筆遺言を検討していたが筆記が難しい等、ご本人自身にとっても思わぬ事態に遭遇することも考えられます。

 

最後の意思を実現する手段として、ご本人自身またはご家族の方などから、危急時遺言についてご相談いただければと思います。

 

当事務所によくお問い合わせいただく相談内容

この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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