評価の難しい田畑の評価額が争点となり、鑑定により解決できた事案
[相続人属性]
依頼者:長女
相手方:妹
[依頼背景]
父親の相続で、相続人は2人(姉と妹)です。
妹は高額で売却が見込める宅地の取得を希望したばかりか、利用価値の低い土地の評価を不相当に高く見積り、代償金の支払いを拒否しました。妹の不当な提案に対し、姉は、当事務所に依頼され、妹の主張を認めない旨の通知を送りましたが、妹はこれを無視し、主張を撤回しませんでした。
そのため、当事務所から遺産分割調停を申し立てました。
[弁護士の関わり]
調停初期においては、妹の主張の不合理性を徹底的に指摘・反論しました。
そうしたところ、妹も弁護士を依頼し、姉が取得する予定の土地の不動産鑑定書を提出して、姉が取得予定の土地に高い評価があることを重ねて主張してきました。
それに対し、当方も、別の不動産鑑定士に依頼し、妹側の鑑定書に不自然な記載や考え方があることを反論した上で、最終的には裁判所の鑑定を利用することとなりました。
[結果]
裁判所が選任した不動産鑑定士の鑑定結果は、当方側の鑑定額に近いものであり、妹もようやく、主張を撤回するに至り、妹から十分な代償金が支払われる内容での調停が成立しました。
[担当弁護士の所感、事件解決のポイント]
当事務所が扱う相続問題では、不動産の評価額が問題となるケースが数多くあります。
不動産の評価額は、固定資産税評価額でいいのか、路線価とするのか、実勢価格とするのか、実勢価格とする場合、不動産業者の簡易査定でいいのか、不動産鑑定によるのか、を他の相続人と協議することになります。
流通性のある街中の宅地の場合は実勢価格が争いとなりますが、郊外や田畑の場合は固定資産評価額での合意も多くなります。 相手が鑑定書を提出してきた場合の対応については悩まれることが多いと思われますが、専門家の助言を踏まえ、適切な判断をすることが必要と思います。
当事務所によくお問い合わせいただく相談内容
この記事の監修者について
アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)専門分野
相続遺言、交通事故経歴
秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。022-398-8671
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