少額の預金を引出した行為について弁明を行うことで相続放棄を受理してもらうことができた事案
[事情、解決のポイント]
夫(本件の被相続人)が突然死したため、途方にくれた妻(当依頼人)は、しばらくの間、生活費などのために、夫のカードを使ったり、口座から少額ですが現金を引き出しました。
その後、夫には事業債務・保証債務等があることから、当事務所に相談に来られました。
しかし、相続開始後にした預金の引出行為が「相続の承認行為」に該当してしまうことから、当事務所では、相続放棄の申述にあたり、「上申書(弁明書)」まで作成し、斟酌されるべき事情を丁寧に訴えました。
相続放棄の申述が却下される可能性も十分にありましたが、家庭裁判所から、相続放棄を受理する通知書を発行してもらえることができました。
【担当弁護士のコメント】
一般の方には、相続開始直後の混沌とした状況から、深く考えずに生前と同じように故人の口座から金銭を引き出すことがありますが、外形的に相続の承認行為にあたってしまいます。
常識的な範囲での葬儀費用の支出であれば、相続放棄が認められる事案があったりするなど、事案に鑑みて、柔軟に対応してもらえることがありますが、確実に相続放棄が受理される保証があるわけではありませんので注意が必要です。
また、家庭裁判所に相続放棄を受理された後、債権者から裁判を起こされて、相続放棄の効力が争われる可能性があるため、当事務所では、いかなる理由でも、預金引き出し行為を認容しておりませんので、誤解のないようにお願いします。
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この記事の監修者について
専門分野
相続遺言、交通事故経歴
秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。022-398-8671
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