【解決事例4】財産管理をしていた長女が財産を使い込んでいたが、正当な手続きによって遺産を取り戻した事例

 

【解決事例4】財産管理をしていた長女が財産を使い込んでいたが、正当な手続きによって遺産を取り戻した事例

  • 依頼背景

父親が他界しました。長女が同居しており、亡くなる前の父親の財産管理を事実上行っていました(入院や施設入所にあたり、親が子に預金通帳や印鑑の管理を依頼し、親が認知症等になってもそのままになっているケースは珍しくありません)。遺言書はありません。長女からは、「父親には遺産は全くない」とし、通帳の開示も拒んでいました。次女のDさんはどうしたら良いか分からず、弁護士にご相談にいらっしゃいました。

 

  • 弁護士の関わり

 使途不明金が問題となるこのようなケースでは様々な可能性が考えられます。多いのが、長女が生前から父親の財産を使い込み(横領)していたことが疑われるケースです。通帳・印鑑、キャッシュカードを管理しているため、事実上、フリーパスで父親の預貯金を引き出すことが可能です。金額が大きければ、金融機関も本人確認や委任状を求めるのですが、特に地方の金融機関では徹底されているか疑問もあります(父親の死後、100万円単位の預金を勝手に引き出されていたケースもありました)。

 

次に考えられるのが、長女が父親から贈与を受けた、という主張です。この場合は、贈与を受けた証拠の提出を求めますし、多額であれば「特別受益」に該当し、贈与された金額も含めて遺産相続しなければならないことを主張します。
なお、相手からは「持戻し免除の意思表示」があったと再反論される可能性があります。

 

弁護士としては、まず、使途不明金の額を特定する必要があるので、相続人の代理人として、金融機関に故人との取引履歴を調査しました。すると、生前の故人の生活水準と照らして、明らかに多額な引き出しが目についたため、同居していた相続人による使い込みが強く疑われました。

当事務所から相手方に対し、具体的な不合理な点を指摘し、使途不明金も相続財産に含めて遺産分割し、Dさんの相続分を支払うよう請求しました。

 

なお、Dさんが全面対決までは望んでいなかったことから、早期にこちらの条件に応じれば、一定額を経費としてみるという譲歩した内容にしました。

長女は、通知が届いた数日後に、当方の請求通りの金銭の支払いに応じました。

 

  • 担当弁護士の所感、事件解決のポイント

使途不明金・使い込みが疑われる事案では、疑う側(請求する側)に立証責任が課されていますので、具体的に、どの程度の金額が使途不明なのかを把握する必要があります。

また、相手からは様々な弁解が出てきますので、その弁解が不合理であり信用できないことも積極的に訴えていく必要があります。

なお、遺産分割調停においては使途不明金の問題は残念ながらあまり取り上げてもらえないことが多いので(家庭裁判所は使途不明金については熱心ではない)、事案によっては、家庭裁判所への遺産分割調停ではなく、正式な民事裁判の手続きを選択することもあります

 

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この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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