公正証書遺言を薦める理由

遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります。

 

以下では三種類の方法についてご説明しますが、迅速かつ確実な相続手続きを望まれる場合には、公正証書遺言をお勧めいたします。

といいますのは、公正証書遺言の場合、相続が発生したら、特段の手続きが不要で、迅速に名義変更や預金の払い戻しなどの相続手続きをとることが可能だからです。

 

【自筆証書遺言】

本人が、本文の全文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したものです。活字や代筆は認められず、必ず自筆で書くことが必要となります。

一見、最も簡単かつですし、費用もかかりませんので手っ取り早いように思われるかも知れませんが、自筆証書遺言は内容が不明確だったり、法律上無効となる恐れもあります。

 

検認手続き

自筆証書遺言の保管者は、家庭裁判書に自筆証書遺言の「検認」の申立てをする必要があります(この検認の手続きを受けないと、相続手続きができません)。

故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てるため、遠方の場合は、負担が大きくなります。また、公正証書遺言では必要的ではない書類(故人の出生~死亡の戸籍類、相続人の現在戸籍など)の収集も必要となり、申立てから検認期日まで期間などを含めて、着手から2,3か月程度は要するため、迅速な相続手続きができません。

検認の期日では出席した相続人などに裁判官が遺言書の作成経緯や保管状況、筆跡や印鑑の印象などについて質問をします。

なお、検認は、遺言書の真偽などを確認するものではありません。

 

【公正証書遺言】

公証人役場で遺言を作成する方法です。

本人が公証人役場に出向いて証書に内容を記載して署名・捺印した上で証書を封じ、同じ印鑑で封印をします。この証書を公証人1人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言である旨を告げ、住所氏名を述べます。それを公証人が封紙に日付と共に記録し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。

公正証書遺言は公証役場にその原本が保管されていることから、その存在が一番確実なものであり、家庭裁判所における検認手続も不要です。

そのため、相続が開始した後に速やかに相続手続きを取ることが可能です。

 

【秘密証書遺言】

公正証書遺言と同じように公証役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認できないところが相違点です。

秘密証書遺言は内容を秘密にでき、また遺言書の存在は公証人や証人が知るところとなりますので一見確実そうですが、遺言書の内容自体については公証人が確認していませんので、不明確な内容だったり、法律上無効となる恐れもあります。

 

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。

検認の必要がないのは、公正証書遺言の場合だけです。

 

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この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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