相続が発生して、このようなお困りごとはありませんか?
- 平日に銀行や法務局に調べに行く時間がない
- 故人と疎遠だったため遺産の全容がわからない
- どこまで調査をすればいいのか不安がある
- 借金の調べ方がわからない
- 他の相続人が遺産目録を見せてくれない(遺産隠しの疑い・不安)
遺産分割の話し合いを始める前に、相続調査を行うべき理由と方法について解説いたします。
なお、相続調査は「相続財産」調査のほかに、「相続人調査」がございます。このページでは「相続財産」の調査について解説いたします。
相続人調査についてはこちら相続財産調査が必要な理由
相続が発生すると、故人の所有していた財産を、相続人の間で分割しなければなりません(遺産分割)。
そして、遺産分割のためには、分けるべき相続財産(遺産)が、どこにどれだけあるかを把握する必要があります。この「相続財産の全容を把握するための調査」が相続財産調査です。
相続財産の調査は、相続人調査と同様に、相続が発生した際、できるだけ早く着手する必要があります。
なぜなら、相続は、不動産や預金のようなプラスの財産ばかりではなく、借金などのマイナスの財産も対象となるからです。
万一、マイナスの財産が多い場合は、相続放棄をすることができますが、相続放棄は相続発生後、3か月という短い期間内に行う必要があるため、相続を受けるか否かの判断のためにも、速やかに相続財産調査を行うべきです。
そして、相続発生後、短期間(3ヶ月以内)に調査をし、集めた資料を分析する必要があることから、見落としや漏れを防ぐためにも、専門家の支援を受けるのが最も確実で安心であるということができます。
また、調査の過程で、資料を分析した結果、他の相続人が「あるべき遺産」を隠しているケースや、「使途不明金」の問題が発覚するケースがあります。
その結果、遺産分割の協議で、自分に有利だと思っていた内容が、実は非常に不利であった、という場合もあります。情報が少ない、ということはそれだけでリスクとなるのです。
✓遺産の全体像を知らなければ、遺産分割案が適正かどうかの判断ができない。
✓遺産の全体像がわからなければ、納付すべき相続税の計算ができない。
✓「後から多額の借金が発見されて、思いもよらない損をしてしまう場合がある。
✓苦労して遺産分割協議がまとまった後に、新しい遺産が見つかった場合、追加で遺産分割協議をしなければならない
相続財産調査の調べ方①(はじめに)
箇所への照会で全ての遺産を調査する方法は存在しないため、「遺産がどこにあるか」という端緒の調査はアナログな方法によらざるをえないのが現実です。代表的な方法は次のとおりです。
自宅に手がかりとなる書類が残っていないかを探す
まずは故人の自宅に遺産の手がかりとなる書類がないか、探してみましょう。
遺品整理の際に、遺産の手がかりがないか注意して探すと良いでしょう。
書斎の机の引き出しや本棚、アルバム、仏壇などに証券や不動産の権利書が入っているものです。
また、死後の郵便物のなかに保険会社・証券会社、ローンの通知が届くことで判明する場合もあります。亡くなった後もしばらくはポストや郵便受けを確認するようにしましょう。
親しかった人におうかがいする
親戚、隣人、友人、職場の同僚などに尋ねることも効果的です。
思いの外、新しい情報が入手できる場合があります(実は周囲から借金をしていたという話が出てきたことがあります)。
手掛かりをもとに、関係各所に照会を実施する
上記1、2、で入手した手掛かりをもとに、関係各所に問い合わせをしたり、書類を取り寄せることで、遺産の詳細を把握しましょう。
代表的なところでは、通帳や証書であれば当該金融機関に、配当の連絡があれば証券会社に、保険証券があれば保険会社に、問い合わせを行います。
上記3つを実施することで大体の遺産を探すことが出来ると思いますが、遺産を探す時間がない方や、何らかの事情で上記方法を取ることができない場合は、当事務所にご相談いただければと思います。
相続財産調査の調べ方②(不動産・預貯金・金融資産などの調べ方)
相続財産の代表例である、不動産、預貯金、金融資産(株、投資信託等)、保険などの調査方法について解説いたします。
不動産
以下の5つの方法があります。
① 毎年届く「納税通知書」を確認する
② 自宅に保管されている権利証(現在は登記識別情報)で確認する
③ 自治体(役所)に「名寄帳」や「固定資産評価証明書」を請求する
④ 判明した各不動産の登記簿謄本を取得する
⑤ 査定を取る
上記のうちどこまで調査をするかについてはケースバイケースとなりますが、安易に「これだけしかないだろう」と考えていると、共有になっている私道などなんかの事情で記載から抜けている遺産が、あとから見つかり、問題となるケースがありましたので、注意が必要です。
⑤の査定は必須ではありませんが、後々の遺産分割協議において、不動産の大まかな時価が把握できると、適切な判断ができますので、余裕がある方にはおすすめしております。
預貯金
遺品の中にある通帳やカードを手掛かりに調査します(それ以外にも故人宛の郵便物の中に金融機関からの案内がないかは必ず確認します)。
該当の金融機関の本支店に通帳や戸籍謄本、身分確認証等を持参すると、被相続人名義の預金の有無や残高について回答してもらえます。
なお、故人が銀行の貸金庫を借りていた場合は、開披には相続人全員の同意が必要となりますので、貸金庫が見つかったら、早急に手続きをするようにしましょう。
金融資産
故人と取引のある証券会社を把握しているかどうかで変わります。
取引証券会社がわかる場合は、証券会社に照会をかけることは金融機関と同様です。
取引証券会社がわからない場合は、証券保管振替機構(通称ほふり)で被相続人が証券口座をどの証券会社に保有しているかを情報開示請求するという形で調べます。その上で該当の証券会社に照会手続きをとります。
保険
故人が被保険者である生命保険の死亡保険金は相続財産ではありませんが、相続税申告の際に必要な情報でもあることから、保険加入の有無は相続財産と併せて確認をしておくべきです。
保険証券や保険会社からの案内、保険料の引落実績で判明できるケースが多いですが、手続き漏れがご不安の場合は、一般社団法人生命保険協会による生命保険契約紹介制度を利用することがで、支払手続未了の保険の有無について調査をする方法があります。
マイナスの財産調査
マイナスの財産を調査すべき理由
マイナスの財産(ローンや借金)は相続放棄しない限り、相続することとなり、返済義務があります。相続放棄の期限は、相続発生後3か月以内のため、それまでにマイナスの財産を含めた相続財産を相続するか、しないかを、判断をするために、必ず調査するようにしましょう。
なお、一旦、遺産分割をした後に、借金が判明した場合は、もはや相続放棄をすることはできません(もっとも、事情により判断が分かれる場合がありますので、必ず、専門家・弁護士に相談か対応を依頼するようにしてください)。
マイナスの財産の調べ方
潜在的な債務もあるため調査に限界はありますが、最低でも(1)は調査が容易のため確認しておくようにするべきです。
記録が残っているもの
ローンの契約書、口座からの返済・引落記録、不動産登記簿に記載がある抵当権、信用情報機関への照会
記録が残っていないもの
個人からの借金、保証債務
財産目録の作成の方法
相続財産の調査が終わりましたら、一覧表(遺産目録といいます)を作成して、整理しましょう。
形式に決まりはありませんが、
①相続財産を特定する情報、
②持分割合、
③評価額、
④その他参考情報
を記載することが一般的です。
土地であれば、
①所在地、
②持分割合(共有者がいる場合、共有者の情報)、
③固定資産評価額や路線価、
④抵当権設定の有無や現状
について、記載しておけばいいでしょう。
預貯金であれば、
①銀行名と支店名、口座の種類、口座番号、
②死亡時の残高、
③死亡後の入出金の有無
などを記載します。
相続調査は当事務所にお任せください
相続財産の調査は、一点一点だけを見ると、難しくないかもしれませんが、日常生活を送りながらの調査では、手が回らずに中途半端で終わっているケースが散見されます。
当事務所では、他の事務所と比べて、「相続調査」に力を入れており、地元金融機関、都市銀行、他県の信用金庫や農業協同組合など、様々な金融機関に対する調査実績がございます。
また、他の相続人が一切の情報を開示してくれないがために、0から調査を開始したケースもあります。
そして、相続調査は、書類を取得することがゴールではなく、書類を精査することで、相続財産の見落としを防ぐことや、隠されている財産がないかを発見することに意味がありますが、書類の記載事項を正確に理解することもができず、確認すべき点に気が付けないケースもあります。なお、弊所では、記載の意味が判然としない場合には弊所では担当者に明確にするよう確認を求めております。
こうした丁寧な調査や分析は、多くの経験があってこそのものだと自負しておりますので、相続調査についてご不安であれば、当事務所にお任せいただけると幸いです。
費用は調査範囲で異なりますが、少数の預金口座の調査であれば5.5万円からご利用いただけます。遺産分割や遺留分請求の交渉を弁護士に依頼するか悩んでいる方には特におすすめです。
相続調査を通して解決に至る例
相談内容
身寄りがいない父方の叔父が亡くなり、甥である相談者が相続人。
しかし、相談者の父は、親戚付き合いを全くしていなかったため(叔父が唯一の接点)、相談者は、父の兄弟が他に何人いるのか、生きているのか、亡くなっているの、がわかりませんでした。
叔父の財産もよくわかりません。自宅から通帳は見つかりました。また、近くの銀行に貸し金庫を借りていたという話を聞いたことありますが、真偽がわからず、時間が取れなかったため、銀行に照会することができていませんでした。
そのような事情で、遺産分割協議を実施しようと思っても、遺産分割を進めることができない状況となっており、しかし相談者はご高齢で、細かな手続を進めることが困難だった点や面識のない父の親類に会って相続の遺産分割協議を相談者ご自身で進められると思っていなかった点から、当事務所の弁護士に相談にお越しになり、ご依頼いただきました。
当事務所の対応
まず、父の戸籍から、父の兄弟たちの戸籍などを収集し、相続人の確定を行い、現在の相続人の方々に手紙で連絡を取りました。
また、近隣の金融期間などの照会をかけて、残高等を確認することができました。
相続人・財産調査を実施することで、相続人全員の所在と遺産の全容を把握できましたので、判明した遺産の内容を前提に、遺産分割協議書案を作成して他の相続人全員に送付したところ、他の相続人全員の了解を得ることができたため、調停等の裁判所の手続を経ることなく、遺産分割協議が成立しました。
相談者は、自分で少しやってみたものの、抜け漏れがないかが心配になったので、今回依頼いただいたのですが、不安点を解消したうえで、遺産分割を円滑に進め、相続の手続が完了し、非常に安心していたご様子でした。このように、相続発生後、なるべくお早目に弁護士に相談いただくことで、相続や遺産分割問題が、円満にかつ早期に解決につながります。
初回相談60分無料
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当事務所の弁護士が丁寧に対応させていただきます。
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この記事の監修者について
アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)専門分野
相続遺言、交通事故経歴
秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。022-398-8671