相続により取得した土地の国庫帰属制度の申請のご支援

 

令和5年4月から、相続人が相続または遺贈で取得した土地について、国庫帰属させることができる制度(相続土地国庫帰属法)が創設(施行)されました。

これまで、売却できず、かつ、活用予定のない不動産は「負動産」と呼ばれ、その管理に頭を悩ます家族は大勢いらっしゃいましたが、その解決策として注目されています。

スタートしたばかりの制度であり、要件が判然としていないため、ご自分が相続された土地が、条件に該当するかを、細かく確認していく必要があります。

当事務所の説明も法務省や関係団体の広報を基としておりますが、実例を重ねて、精度の高いご案内ができるように努めてまいります。

 

1 本制度を利用できる人(申請者となれる方)

[相続]又は[相続人に対する遺贈]によって土地を取得した人が対象です。

 

本制度開始前(例:数十年前)に相続で取得した土地も、本制度の対象となります。

※相続したのが土地の共有持分だった場合、他の共有者全員と共同であれば、申請することが可能です。

※相続以外の原因(売買)で取得した土地は対象外です。

※法人は利用できません。

 

2 申請の流れ

 

申請

審査

負担金 or 却下・不承認の場合

 

申請

 

申請先

該当の当該土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)

 

申請方法

後述する必要書類の提出(郵送でも可) 審査手数料(土地一筆当たり14,000円)の納付

 

申請者

本人名義のみ(代理人名義での申請は不可)書類の作成や必要資料の収集を弁護士らに依頼することは許されます。

また、書類不備のときの連絡先として弁護士を記載することもできます。

 

※代理人として申請はできませんが、専門家の支援は受けることは許されますし、法務局の立場として

も法的知識のある専門家の支援を望んでいるはずです。

※逆にいえば、専門家に依頼せずに申請を行ったところ、本来であれば、国庫帰属の対象となり得たの

に、必要な書類や事情が提出されなかったことで不承認となることは避けたいところです。

特に、少なくとも数年間は、実務的な見解が固まっていないため、担当者によって結論が変わりうる可

能性もありますので、しっかりとした対応を心がけたいところです。

 

必要書類

① 承認申請書

② 土地の位置及び範囲を明らかにする図面

③ 当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

④ 土地の形状を明らかにする写真

⑤ 印鑑証明書

⑥ 遺贈の場合、遺贈を受けたことを証する書面

⑦ 申請者と所有権登記名義人が異なる場合は、土地の所有権登記名義人から相続又は一般承継があった

ことを証する書面

⑧ 固定資産税評価額証明書(任意)

⑨ 土地の境界等に関する資料(任意)

gengou_document_reiwa.png (800×800)

 

審査

 

審査期間

概ね半年から1年程度と想定されています。

 

審査方法

申請書の内容確認や、現地調査が行われます。

また、隣接地所有者に文書照会がなされます。

審査中に申請者の方が亡くなった場合、土地を相続(相続人への遺贈を含む。)した方は、相続等があった日から60日以内に、申請先の法務局にその旨を申し出なければ、申請は却下されます。

 

負担金

審査の結果、承認の要件がクリアされた場合は、承認がなされます。

負担金を国に納付すれば、土地の所有権が国庫に帰属します(終了)。

負担金は、土地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定した額の負担金を納付しなければなりません。

 

市街化区域・用地地域の宅地や農地…面積に応じて算定

※100㎡548000円

 200㎡793000円

市街化区域外の宅地や農地    …一律20万円

森林     …面積に応じて算定

※ 750㎡254000円

  3000㎡112800円

      その他        …一律20万円

 

 

却下・不承認の場合

行政手続きに対する不服申立ての制度に従い、審査請求または行政訴訟の提起により争います。

 

 

3 国に引き取ってもらえない土地とは?

通常の管理または処分をするにあたり、過分の費用や労力を要するかどうかが判断基準とされています。

 

(1)そもそも申請すら受け付けてもらない土地(却下事由)

① 建物がある

② 担保権や使用収益権が設定されている

③ 通路など他人の利用が予定されている

④ 土壌汚染されている

⑤ 境界が明らかでない、所有権の存否や範囲について争いがある

 

(2)審査の結果、不承認となる土地(不承認事由)

① 一定の勾配・高さの崖(30度以上で5メートル以上)があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地

② 土地の管理・処分を阻害する有体物(竹など)が地上にある土地

③ 除去しなければいけない埋設物(浄化槽や井戸など)が地下にある土地

④ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

⑤ その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

 

4 アイリス仙台法律事務所でのご支援プラン

当事務所では、ご相談において、基本的な条件は満たしており、かつ、明確な却下・不承認事由が見当たらず、承認の可能性があると判断できる土地についての申請手続きを支援いたします。

費用につきましては、対象不動産の数、場所、状況等により、お見積もりさせていただきます。

 

当事務所によくお問い合わせいただく相談内容

この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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