ケースごとの遺言条項例

1.ケース① 長男に跡を継がせたい場合

(1)事例

法定相続人は長男、二男、長女の3人。

本人は、定年退職後、長男と同居しているが、長女と二男は10年以上前に家を出て行ってしまった。

長男に自分の跡を継がせようと考えており、長男に遺産全部を相続させたい。

(2)検討のポイント

長女と二男が独立し、相続にはあまり関心がなく、本人は長男に跡を継がせるつもりなのであれば、次のように、遺産全部を本人に相続させるというシンプルな内容の遺言にすることが考えられます。

なお、長女と次男は遺留分を有していますので、仮に遺留分減殺請求をされた場合には、長女と二男にも一定の遺産を与えなければなりません。

したがいまして、遺留分減殺請求をされた場合には、その際に、改めて、遺産の分け方について、長男と長女・二男が話し合うことが前提となります。

(3)遺言条項例

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第1条 遺言者は、遺言者の有する財産全部を遺言者の長男○○○○に相続させる。

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2.ケース② 相続人同士の仲が悪い場合

(1)事例

法定相続人は長女、二女の2人。2人は、昔から仲が悪くケンカばかりしている。

本人は二女と同居しており、二女に遺産を多めに相続させたいと考えているが、そのようにすれば2人が遺産のことで揉めるのは確実な状況。

(2)検討のポイント

相続人が遺産で揉めるのが確実な状況ということであれば、まず、遺言執行者として相続の専門家である弁護士を指名することが考えられます(どちらか一方を遺言執行者にすれば、他方の相続人は、不信感を更に強めます)。

また、同居している二女に遺産を多めに相続させたいということですが、長女の遺留分相当額についても二女に相続させる内容とすれば、後に長女が遺留分減殺請求をしてくることは確実であり、そうなれば、さらに遺産の分け方で揉めることになりますので、長女にも遺留分相当額については相続させる内容とした方がよいでしょう。

その方法について、「二女に4分の3、長女に4分の1」というように相続分を指定することもできますが、相続分を指定すると、やはり遺産の分け方でもめることになりますので、どの財産をどちらに相続させるかを具体的に指定する方法が適切です。

以上の点を踏まえると、次のような遺言になります。

(3)遺言条項例

 

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第1条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の二女○○○○に相続させる。

(1)土  地

所  在 ○○市○○町○丁目

地  番 ○番○

地  目 宅地

地  積 ○○.○○平方センチメートル

(2)建  物

所  在 ○○市○○町○丁目○番○

家屋番号 ○○番

種  類 居宅

構  造 木造かわらぶき2階建

床 面 積 1階 ○○.○○平方センチメートル

2階 ○○.○○平方センチメートル

(3)預貯金

○○銀行(○○支店)に存在する預貯金全部

第2条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長女△△△△に相続させる。

△△銀行(△△支店)に存在する預貯金全部

第3条 遺言者は、前各条に記載した財産以外の、遺言者の有する動産その他の一切の財産を二女○○○○に相続させる。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

住  所 仙台市青葉区国分町一丁目7-18 白蜂広瀬通ビル7階

職  業 弁護士

氏  名 関野 純

生年月日 昭和55年

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3.ケース③ 長男の配偶者に財産を渡したくない場合

(1)事例

法定相続人は、長男、長女の2人。

本人(姑)は前々から長男の配偶者との折り合いが悪い(いわゆる嫁姑問題)。

長男の配偶者は金遣いが荒く、ブランド品や宝飾品などを好み度々買っている。

長男やその子供(孫)には遺産を相続させたいが、それが嫁に渡らないようにしたい。

(2)検討のポイント

長男の相続した財産が長男の嫁に渡ることを心配しているということですので、預金などの流動性の高い財産は長女に相続させ、不動産などの容易には処分できない財産は長男に相続させるという内容の遺言にすることが考えられます。

以上の点を踏まえると、次のような遺言になります。

(3)遺言条項例

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第1条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男○○○○に相続させる。

(1)土  地

(略)

(2)建  物

(略)

第2条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長女△△△△に相続させる。

△△銀行(△△支店)に存在する預貯金全部

第3条 遺言者は、前各条に記載した財産以外の、遺言者の有する一切の財産を長女○○○○に相続させる。

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4.ケース④ 自社株がある場合

(1)事案

相続人は、長男、二男。

本人は、多種多様な財産を有しており、その額も多額である。また、会社を経営しており、自社株を有している。

本人は、長男に経営を引き継がせたいと考えている。

他方、兄弟には相続のことで揉めてほしくなく、二男にも長男と同程度の財産を相続させたい。

(2)検討のポイント

長男に会社の経営を引き継がせたいということですので、自社株は長男に全て相続させることが必要です(なお、時々、株を2分の1ずつ相続させる例がありますが、経営の観点からはおすすめできません)。

他方、二男にも長男と同程度の財産を相続させたいということですので、長男と二男が相続する割合は2分の1ずつとします。

そして、自社株の額がその他の財産の額を上回るような場合には、二男も2分の1の割合で相続できるように、長男が二男に代償金を支払うという形で双方の相続分が同じになるように調整します。以上の点を踏まえると、次のような遺言になります。

(3)遺言条項例

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第1条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男○○○○に相続させる。

○○株式会社の株式全部

第2条 遺言者は、前条の財産を含む遺言者の有する一切の財産を、いずれも、長男○○○○及び二男△△△△に2分の1ずつの割合により相続させる。ただし、○○株式会社の株式全部の価額が相続財産の総額の2分の1を超えるときは、長男○○○○は、二男△△△△に対し、その超える額の2分の1を代償金として支払うものとする。

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このように、遺言は、遺言者が自分の事情やニーズに合わせて自由にその内容を決めることができます。他方、あまりにも複雑な内容にしてしまうと、本当に遺言者の意思に基づいて作成されたのかが疑われ、後々、遺言の効力が争われる可能性もあります。また、ご自分の力だけでは、実現したい財産の分け方を文章で正確に表現できるとは限りません。

遺言を作成するのは一生に一度のことです。ご自身で考えることも大事ですが、最後には、専門家にご相談いただくことも大事だと思います。

 

 

 

 

 

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