既に遺言を書いたので安心?内容は大丈夫ですか?【見直したいポイント】

遺言は何度でも書き直すことができますが、一度、作った遺言を実際に書き直す方は多くないと思います。

それでも、以下のような場合には、一度、見直されることが望ましいのではないかと思います。

「ご自分の残した遺言が本当に大丈夫か?」

少し時間を置いて見直してみるのも良いかと思います。

過去の相談事例から考える遺言で見直したいポイント

以下は、過去の相談例などを抽象化したものです。

❏ 遺言を作成された後に、相続人関係に変化は生じていませんか?(死別、再婚など)

仮に、長男に全財産を相続させる、という遺言を書きましたが、不幸なことに、その後に、長男が自分よりも先に亡くなってしまいました。

この場合、遺言の効力はどうなるのかご不安だと思います(長男の子どもがたちが相続する?それとも無効になる?)。ご自分の意向と異なる結果になるかもしれませんので、このような場合、改めて、書き直しをするべきと思います。

❏ 全部の財産についての帰属先が明確になっていますか?

以前に、信託銀行の関与で遺言を作成された方がいましたが、財産の一部について相続指定がされていただけで、他の財産については何も触れられていませんでした。結果として、相続開始後に、他の財産の分割を巡って、紛争が生じてしまいました。

また、信託銀行が遺言執行者として指定されることが多いですが、信託銀行は預貯金の扱いしか対応していないため、その他の財産の引継は相続人が自分たちでやらなくてはなりません。

また、信託銀行の執行費用は一般に弁護士事務所よりも高額な場合が多く、新たに遺言を書き直し、全財産についての執行、費用の見直しをしたほうが良い場合があります。

❏ 遺贈がある場合、遺言執行者を指定していますか?

遺贈は、遺言執行者がいれば、遺言執行者が手続きをとれますが、遺言執行者が指定されていない場合、相続人全員の協力が必要となります。

そうなりますと、遺贈を受ける方は、相続人全員を探し出し、協力をお願いしなければならなくなりますが、相続人からすれば「なんで他人に財産が渡るのに協力しなければならないんだ」という不満から、円満な協力が難しいことになります。

こうした事態を避けるために、遺贈=遺言執行者は必須と言えます。

❏ 銀行口座ごとに相続指定をしている方がいます。

一見、問題がないように思えますが、本人に後見人がついた場合に、「後見制度支援信託」が使われる場合があります。

そうしますと、本人名義の預貯金の大部分が解約され、信託銀行に後見人名義の口座に移されます。そうしますと、遺言の内容と齟齬が生じてしまい、本人の意向が反映されない相続になる場合があります。

❏ 自筆証書遺言の方

表現の仕方は人それぞれですが、そのことが相続開始後に解釈問題となり、争われる場合があります。多くの方が同じように捉えられる表現に変更したほうが望ましい場合があります。

実際の裁判で、「私が亡くなったら、財産については、私の世話をしてくれた長女のXに全てまかせますよろしくお願いします」という自筆証書遺言があり、長女は、その遺言を下に銀行に支払を求めましたが拒否されました。

銀行は、この遺言は、遺産を長女Xに相続させる、という趣旨ではなく、遺産分割手続を、Xを中心にして行ってほしいと要請した趣旨であるというのが理由です。

裁判では、一審は後者の判断がされ、控訴審で、前者の解釈がなされました。

結果的に有効性が認められましたが、長年に渡り法廷闘争を強いられたということは、遺言者にとって誤算であっただろうと思います。専門家の支援を受け、解釈の争いの余地がない表現を用いていれば防げたものと思います。

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この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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