遺言で遺留分を侵害されており、遺留分請求をしたい場合|仙台の相続問題に強い弁護士

遺留分とは?

「全財産を相続人の一人に相続させる」「お世話になった施設に寄付する」という遺言書があった場合
亡くなる直前に、財産の多くが生前贈与されていた場合
その他、遺言書や生前贈与によって、受け取れるはずだった相続財産を受け取れなかった場合
遺留分が侵害されていると思うが、遺言書を見せてもらえなかったり、相続財産の全容を開示してもらえない場合

 

遺留分とは、法定相続人が最低限の相続財産を取得できる権利のことで、上記のような遺言書が残されていた場合でも、法定相続人は、一定の金銭を請求することが法律上、認められています(兄弟が相続人の場合を除く)。

 

相続財産の何パーセントの遺留分を請求できるかは、被相続人との関係によって異なります(詳しくは、後述の「遺留分割合の例」をご覧ください)。

 

遺留分として請求できる金額の計算についてご不安な方は、当事務所にご相談に来ていただければ、ご一緒に計算いたします。

 

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遺留分を請求する場合

1. 具体的な遺留分の請求額の計算方法

① 最初に、【死亡時の相続財産(例:1億円)】から【特別受益(例:1000万円)】を加えて、【相続債務(例:△2000万円)】を引きます。
② ①で算出された金額(9000万円)に、ご自分の遺留分の割合(例:6分の1)を掛けます(9000万円×1/6=1500万円)。
③ 仮にご自身が特別受益を受けていれば、ご自身の特別受益の金額(例:500万円)を引いた額が、遺留分が侵害された額として請求することができます(1500万円-500万円=1000万円)。

※ 実際には、相続財産の範囲・評価、特別受益の有無・範囲・評価について、主張に食い違いがあり、遺留分の弁償金額に争いがあることが一般的です。

 

2. 遺留分を請求の意思表示

遺留分の請求をしようとしても、相続財産の範囲や評価が、明らかではない場合があります。

 

ところが、遺留分の請求は、自分の遺留分が侵害されている事実を知った時から1年経過すると、「時効」によって、請求が認められなくなります。

 

そのため、「明らかに不公平な遺言がある」場合には、遺留分の正確な請求額が算定できなかったとしても、速やかに、相手に対して、遺留分を請求する意思を明らかにすることが必要ですのでご注意ください(相続財産の調査は、請求をした後にするのでも構いません)。

 

また、遺産分割のご相談で多いのですが、「一周忌まで待った方がいい」と考え、請求や依頼に踏み出せない方もいらっしゃいますが、期限はあっという間に来てしまいますので、ご注意ください。

 

3.遺留分を請求する手続

遺留分の請求を行った結果、相手方が素直に支払いに応じるケースは殆どありません。

 

当事務所の過去の取り扱い事案では、交渉解決が約2割、家庭裁判所での調停解決が約6割、裁判解決が約2割です。参考にしていただければと思います。

 

遺留分は請求する側にとって負担ですが、請求される側にとっても負担感は大きいものです。早期に解決できれば望ましいのですが、調停や裁判にならないと、真実を明らかにしてもらえないケースもありますし、感情的なしこりから、第三者の判断を仰がないと納得できない当事者も少なくありません。ですので、一定程度、調停や裁判にいくことはやむをないと言えますし、もし、話し合いにおいて適正な水準で解決を目指すのであれば、早期に弁護士を立てて、ご自身の本気を示す必要があるとも言えます。

 

「弁護士を立てて遺留分を請求すれば兄弟仲が悪くないのでは」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、財産の大半を取得しておきながら適正な遺留分すら支払わない相手方に責任があるのではないでしょうか。

 

不安がらず、自信をもって、法律上の権利を行使していただければと思います。

 

4.弁護士関与の必要性が高い分野です

遺留分の請求の前提として、「相続財産の全容の調査」「遺産の評価」「特別受益の調査及び判断」が必要となります。

 

請求の根拠が不正確であれば、相手としてもなかなか支払いに応じることはしないでしょうし、上記の調査や判断に誤りがあれば、遺留分の請求額が想定したよりも低い金額しか請求できなくなる場合もあります。

 

また、遺留分のトラブルは、調停や裁判になるリスクが、遺産分割と比べて高い分野です。調停や裁判になったときを見越して、交渉や調停でどのような主張をし、どのような証拠を集めていくのか、は、実際に調停や裁判を経験していないとなかなか対応が難しいのが実情です。

 

時折、弁護士以外の士業に書類の作成だけを依頼されている当事者もいらっしゃいますが、裁判実務の理解に乏しい部分が目につく印象を受けます。

 

結論としては、遺留分の請求を行う場合は、法的手続きをとる必要があることを念頭に入れて、当初の相続財産の調査の段階から弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

相続に精通した弁護士であれば法的主張の組み立て方や立ち回り方についてもサポートをすることができますので、一人で悩まれたり、失敗するリスクを減らすことができます。

 

ご自分の遺留分について、お困り事がありましたら、お早めに相続に精通した弁護士に相談していただければと思います。

 

5.弁護士に依頼いただき、遺留分の請求をした事例

相談内容

<父親が「長男に全財産を相続させる」という公正証書遺言を作成していました。相続人は、子供2名(兄弟)です。遺産は、預貯金複数の不動産がありました。

弟は、当初、適正に算出される遺留分の金額よりも低い金額でもいい、と協議を持ちかけましたが、長男は、非常に低額な金額でしか解決に応じようとしませんでした。

 

当事務所の対応

兄弟間の、信頼関係が失われていることから、話し合いでの解決は困難と考え、早期に調停を申し立てました。
※遺留分侵害額請求案件は、まず調停での解決を図るのが原則です。

 

調停を申し立てられた相手方(長男)も、弁護士に依頼しました。双方に代理人が付いたことで、法的な部分での争点が整理されました。

 

当方は、早期解決のために、多少の譲歩の意向を示しましたが、相手は、当初からは金額を加算してきましたが、不動産の評価についての開きが大きく、溝は埋められませんでした。

 

そこで、調停での解決は諦め、訴訟を提起しました。裁判においては、裁判官からの和解案が示され、和解案の金額を基準した金額を相手が早期に支払うとの内容の和解が成立しました。

 

和解額は、調停での当方の譲歩額とほぼ同額でした。

この解決事例の詳細はこちらです>>>

 

遺留分を請求されてしまった場合

遺言に沿って全ての財産を相続したら突然、他の相続人が、遺留分の請求をするといってきた
見に覚えのない特別受益を主張され、多額の遺留分の請求をされている
相手は、父親から多額の援助を受けていたのに、それを隠している

 

1.遺留分の請求をされたときの初期対応

あなたが、遺言書で、他の相続人よりも極めて大きな財産を取得した場合、他の相続人の遺留分を侵害している場合があります。そのような場合、遺留分の請求をされること自体を止めることはできません。しかし、相手の請求額が適正か、どうかを検討することはできます。

 

遺留分のトラブルでは、不動産の評価が問題となるケースが多く、不動産の評価について調査が必要です。また、未上場会社の株式など評価が難しい財産が含まれている場合もあります。

 

ほかに、請求してきた相手が、実は、生前贈与を受けていた、という場合もあります。この場合、生前贈与の分だけ請求額が減りますので、そうした事実の調査も必要となります。

 

このように、遺留分の範囲を勘違いした請求や、過大な請求をされることもあるため、遺留分の請求を受けた場合、まず、適正な遺留分の額の把握に努めます。

 

その上で、遺留分の請求に対してどのように対処するのか決めていきましょう。

 

2.遺留分の請求を放置した場合

時々、遺留分の請求を受けたけれども、元々、仲が悪い間柄だったため、遺留分の支払い義務があることは理解しつつ、相手からの通知を放置するケースがあります。

 

それで相手が諦めてくれれば良いのですが、相手が諦めるケースはほとんどないでしょう。

 

なぜなら、相手は、あなたが両親を言いくるめて、有利な遺言書を書かせたのだと疑っており、あなたが請求を放置した事実が、その疑惑を更に深めるからです。

 

そして、相手は、あなたに話し合うつもりがない、と判断し、調停や裁判を起こしてきます。調停や裁判になれば、あなたが請求を放置した事実は、あなたに不利に働くリスクがあります。相手も簡単に和解には応じないでしょうから、解決まで年単位で続くこともあります。

 

したがいまして、心情的に受け入れがたいとしても、請求が来た以上は、何かしらの反応を示す必要があります。

 

しかし、それを一人で考えて決断するのは大変なご負担かと思います。

 

そのときには、遺留分の問題に熟知した弁護士が、あなたに代わって、相手の請求の不備を調査し、反論し、相手のペースで進まないように、必要な主張を行います。

 

3.遺留分の請求をされてしまったらまずは弁護士にご相談を

遺留分のトラブルは、調停や裁判に発展するケースも多いため、できるだけ早い段階で専門家弁護士にご相談していただき、争点をまとめ、的確な主張や提案を行うことが重要となります。

 

当事務所では、多数の解決実績の経験から、遺留分の請求をされてしまった場合の、適切な対処をアドバイスさせて頂きますので、遺留分を請求された場合は、速やかに弁護士にご相談していただければと思います。

 

4.複数の相続人の遺留分を侵害している場合

遺留分は相続人一人一人が個別に行使する権利です。

 

そのため、複数の遺留分権利者がいたとして、そのうち一人から請求があったけれども、他の相続人は、「被相続人の意思を尊重したい」などと考え、請求してこない場合もあります。その場合は、請求をしてきた相続人のみに対応すればよく、他の相続人の遺留分を侵害している部分はそのまま取得いただいて大丈夫、となります。

 

遺留分割合の例

①法定相続人が配偶者のみの場合

 

配偶者の遺留分は全体の相続財産の1/2です。

財産が1000万円なら500万円が遺留分になります。

 

② 法定相続人が配偶者と子の場合

配偶者:相続財産の1/4

子:相続財産の1/4

 

子が2人の場合

 

配偶者:相続財産の1/4

長男:相続財産の1/8

長女:相続財産の1/8

遺留分割合②

 

子が3人の場合

 

配偶者:相続財産の1/4

長男:相続財産の1/12

長女:相続財産の1/12

次女:相続財産の1/12

遺留分割合③

 

③ 法定相続人が配偶者と父母の場合

配偶者:相続財産の1/3

父母:相続財産の1/6

 

④ 法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

 

配偶者:相続財産の1/2

兄弟姉妹:遺留分なし

※同順位の相続人が複数いる場合は人数に応じて均等割りとなります。

 

遺言書の効力を争いたい場合

よくある相談例

「故人が実は遺言書を残されていて、そこには、生前聞かされていた話と真逆の内容が書かれていた

 

「故人は入院中で、会話もおぼつかなかったので、親族に遺言書を書かされたのではないか」

 

「特定の相続人に極めて有利な内容で、納得できない」

遺言能力

思いもよらなかった内容の遺言書が残されていた場合、最初に考えることは、「この遺言書は有効か否か」になります。

 

自筆証書遺言であれば、法律上の形式的要件を満たしているか、をチェックします。

 

自筆証書遺言で形式的要件は満たしている、もしくは、公正証書遺言が残されている、となれば、次に、遺言書作成当時遺言者が「遺言能力」を有していたかどうかを検討することになります。

 

「遺言能力」とは、簡単に言えば、自分が残そうとする遺言書の内容を理解することができる状態のことです。

 

もし、「遺言能力」が欠けていた、と判断されると、当該遺言書は無効となります。

 

「遺言能力」は、当時の医師による診察・診断内容(短期の記憶力や計算力や自分の置かれている状態などを理解できているか等)、本人の生活状況、遺言の内容などを総合的に勘案して判断するものとされていますが、同じ事案でも一審では遺言能力が有った、とされたものが、控訴審では逆に遺言能力がなかった、と判断されたケースがあるように、簡単に判断できるものではありません。

 

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は、立会人(証人)2名の前で公証人が本人に遺言の内容を確認し、本人が署名した上で作成されますが、公証人が遺言者本人と会話をするのが、短時間で、かつ、認知症が進んだ方でも、問いかけがあれば肯定的回答(反応)をすることがほとんどですので、全く本人と意思疎通ができなかったり、本人が明確に否定的意思を表明しないのであれば、公正証書遺言が作成されているのが実態かと思いますので、公正証書遺言だからという理由だけで遺言能力が認められるわけではありません。

 

遺言書は、何もしなければ有効として扱われますので、遺言書が無効であることを主張する相続人が、「遺言無効確認訴訟」を提起する必要があります。裁判では、遺言者の診断書や、入通院記録・看護記録などを分析して、主張・反論が繰り広げられます。

 

また、裁判所で、遺言書が有効と判断されてしまった場合に備えて、予備的に、遺留分侵害額請求も行います。

 

公正証書遺言が遺言能力を欠く状態で作成されたことを理由に無効と判断された事例

※下記の事例をクリックすると内容が表示されます。

公正証書遺言が遺言能力を欠く状態で作成されたことを理由に無効と判断された事例

【事案】

A(明治45年生)さんは,平成16年3月4日,認知症のため入院中の病室で,多数の不動産、預貯金につき、相続人ごとに異なる比率での配分を内容とする公正証書遺言(本件遺言)を作成していました。相続人は,前妻・後妻との間の子5名です。

相続人のうち1名が、他の相続人4名を被告として、本件遺言作成時,Aは遺言能力(遺言の内容を理解し判断する能力)を有していなかったことを理由に,遺言無効確認訴訟を提起しました。

【裁判所の判断】

裁判所(大阪高等裁判所)は,Aの症状について,「老人性痴呆と診断されて入院し,その後も度重なる不穏行動があり,認知症薬の投与にかかわらず痴呆症状を増悪させ,酸素飽和度の低下等により体調も悪化させ,本件公正証書の作成当日も微熱があり,呼吸補助のために装着していた鼻カヌラにもかかわらず呼吸苦により酸素飽和度も九〇%未満に低下して,その一週間後には肺炎を悪化させて一時危篤状態に陥ったものである。」との事実を認定しました。

そして、遺言の内容について,「本件遺言の内容は,数十筆に及ぶ不動産の配分を決し,多数の 預貯金債権等の財産につき相続人毎に異なった比率での配分を決するものであるから,その内容は単純であるとはいえず,上記作成当時にAがこれを容易に理解できたとも言い難い。」「客観的な評価額はさておきAが大切にしていた先祖伝来の骨董品や墓の管理者の指定がないことは,Aの遺言能力を判断するにあたり考慮すべき事由であるといえ,かかる事項に特段の配慮がなされていないことは本件公正証書の作成当時,Aが遺言能力を有していなかったことを裏付けるものである。」として、本件遺言作成当時のAの遺言能力はなかったものと結論付けました。

本判決の考察

この事件で裁判所は,①遺言者の症状、と②遺言の作成経緯・内容、の2点から遺言能力を判断しています。

 

①Aの認知症による不穏行動や症状増悪,体調悪化が認められたこと,②遺言の内容については,単純な内容とはいえないことやAが大切にしていた骨董品や墓の管理者の指定がないことなどが考慮されて,Aの遺言能力が否定されました。

 

遺言能力の判断にあたっては,作成者の認知症や体調の程度から考えて,作成者が理解できるような内容の遺言なのかどうか,通常遺言に含まれるべき内容が含まれているかという点が重要であることがわかります。

 

当事務所の相続問題解決の特徴

遺留分侵害額請求(または遺留分減殺請求)でお困りの方は、お早めに相談いただくことで、早期の解決に導くことが可能でございます。弁護士が最適な解決に導くサポートをさせていただきます。

 

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この記事の監修者について

アイリス仙台法律事務所 代表弁護士 関野純 (仙台弁護士会所属 登録番号35409号)  

専門分野

相続遺言、交通事故

経歴

秋田県出身。千葉大学卒。2005年に司法試験に合格。司法修習を経て、2007年に仙台弁護士会の弁護士に登録。仙台市内の法律事務所に勤務後、2011年に事務所(現・アイリス仙台法律事務所)を開設。直後に東日本大震災が発生し、事務所は一時休業になるも、再開後は被災者の再建支援、相続問題や不動産の賃貸借トラブルを多く依頼される。 現在は弁護士2名、スタッフ3名の事務所の代表弁護士として活動している。また、仙台市内で相続問題や家族信託に関するセミナーの開催や相談会の開催など、地域の高齢者問題に積極的に取り組む。
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